「群馬・北関東の寺院連続窃盗」その手口と効果的な防犯対策
ようこそ「防犯対策研究所」へ!
群馬実働唯一の「総合防犯設備士」
セキュリティ・エキスパートの新井富美男です。
先日、上毛新聞社様の6月9日朝刊社会面記事「群馬・北関東で多発する寺院を狙った窃盗事件」について、取材の申し込みをいただき、実効性のある防犯対策について提言しましたが、スペース上、大分割愛されています。
また、この記事に関連して、まえばしCITYエフエム「防犯チャンネル845」にも、初生出演して、解説させていただきました。
そこで、今回は「宗教法人」という特別な配慮が必要とされる神社仏閣を管理されるお寺の住職、僧侶や神社の宮司、禰宜の皆様向けに、これ以上の寺院の窃盗被害と若者の犯罪者化を防ぐため、その手口と効果的な防犯対策を詳しくお伝えします。
「効果的な防犯対策」は基準となる「防犯理論」に沿って構築する必要があるため、少し難しい専門用語も出てきますが、なるべくわかりやすく解説しますので、最後まで読んでいただければ、必ずや効果的な防犯対策の一助となると思います。
「寺院連続窃盗」事件概要・手口
昨秋から今年の3月にかけて、群馬・埼玉・栃木・茨城の北関東4県で、寺院を狙った100件以上の窃盗事件が頻発し、被害総額は2億円以上にのぼっています。
容疑者として10代~20代の主に無職の若者8人が逮捕されています。
手元にお布施など多額の現金があり、防犯カメラなど防犯対策が手薄で、ご高齢な住職が多いお寺での窃盗に味を占めた若者集団が、お寺の建物構造などの情報を共有し、遊ぶ金欲しさなどから安易に犯罪者集団化して連続窃盗に及んでいると思われます。
この状況を放置すると、寺院の空き巣被害が強盗・傷害にエスカレートするリスクのみならず、安易に犯罪に手を染める若者・未成年者を増加させるリスクも増大し、日本社会全体にとっても重大な損失となります。
群馬県西部の寺院での窃盗事件概要と手口
ケーススタディとして実際の窃盗事件を検証してみましょう。
・窃盗事件発生日時:本年3月午後10時~午前4時ころ
・窃盗被害者:80代住職と70代夫人の二人家族
・寺院の防犯環境:外部から境内への門扉は夜間も開放状態。本堂や境内を監視する防犯カメラやセンサーライトは無設置。窓ガラスも破壊の容易な通常の3~4ミリ単板ガラス。
・窃盗手口:窃盗犯は本堂の窓ガラスを割って、窓を開錠し本堂内に侵入→本堂からの渡り廊下を進んで平屋の庫裏(住宅部)に侵入→住職の寝室を避けて、居間、書斎、台所など三部屋を物色→タンスなどから金品と金庫を窃取→庫裏の玄関から逃走。
翌日、警察が500m離れた畑でバールにより破壊された金庫を発見。
・容疑者:一か月後に逮捕された18歳の未成年者3人組。
・他の100件以上にのぼる窃盗被害寺院も同様の手口で、手元の現金・日本刀・木魚・美術品などの金品を盗まれています。
「寺院連続窃盗事件」の効果的な防犯対策
窃盗は「機会犯罪」窃盗のチャンスをなくす!
ケーススタディで検証したように、窃盗被害にあわれた寺院は、手元に多額の現金があり、防犯対策が手薄で、逮捕されるリスクが低い環境にありました。
空き巣などの窃盗犯罪は、「ターゲットとなる金品があり、金品を監視・保護する防犯対策が手薄で、発見・逮捕されるリスクが低い環境にあると発生する犯罪」=「チャンスがあると発生する犯罪」なので、「機会犯罪」と呼ばれています。
逆に、恨みによる殺傷事件など異なり、防犯対策などを強化して犯罪のチャンスをなくせば、窃盗犯に狙われるリスクは大幅に低減できるのです!
そこで、寺院の防犯対策の基本は、防犯カメラ・防犯ガラスなど下見する空き巣への威嚇・抑止となる「目に見える防犯対策」と、空き巣のターゲットとなる「大金を手元に保管しない」ことです。
【「防犯環境設計」防犯対策の世界基準を簡明に解説!】記事リンクはこちら!
今すぐできる効果的な防犯対策
それでは、寺院を狙った連続窃盗犯罪=「機会犯罪」を阻止するために、セキュリティの世界基準である「防犯環境設計」に沿って具体的・効果的な防犯対策を解説します。
以下の「3つの防犯性」を、今すぐ出来ることから順次強化すれば、具体的・効果的な防犯対策が構築できます。
1.領域性の強化
犯罪者の接近を抑止する「縄張り」を境内外周に構築します。
犯罪者に寺院のテリトリーを明示し、不用意に侵入させないことが重要!
・境内外周の外壁、フェンス構築
・ゲートの夜間施錠
現状では未施錠や開放が多い
・ゲートへのカメラ付きインターホン設置
安全に夜間の来客に対応するため
2.監視性の強化
犯罪者侵入の監視とリソース(身体・金品等)の見守りを強化します。
犯罪者は逮捕リスクが高まるので人目や防犯カメラを非常に嫌がります!
・ゲート、境内、本堂、庫裏など要所に防犯カメラ設置
必ず下見する犯罪者への威嚇効果大
配線工事が不要で手軽に設置・監視・運用可能なワイヤレスカメラ&モニターレコーダーセットもおすすめ
神社仏閣の景観を損なわないドーム型カメラもあります
・境内の暗闇や死角を照らすセンサーライト設置
参拝客の転倒防止にも役立ちます
・本堂、庫裏に侵入を検知する警報機などセキュリティシステム設置
深夜の犯罪者侵入を早期に検知
3.抵抗性の強化
リソース(身体・金品等)の周囲を物理的なバリアで保護します。
五分以上侵入に手間取らせれば70%が侵入を断念します!
「4つの基本原則」では、「対象物の強化」「接近の制御」と二つに分類されています。
・本堂、庫裏の窓ガラスを防犯ガラスに交換
連続窃盗犯はガラス破りで住居に侵入しています
防犯ガラスは、破壊の「音」と「時間」で効果的な防犯対策となります
・トイレや浴室の小窓に防犯面格子設置
・多額の現金は本堂、庫裏に絶対に置かず、銀行に預金
多額の現金が防犯対策の手薄な寺院にあることが犯罪者集団に周知されているのが空き巣多発の一因
持ち出せない頑丈な金庫に入れても、大金を狙う空き巣が強盗化して生命身体の危険性あり
実際に、大型金庫保有の資産家の方から緊縛強盗の被害相談を受け、現地調査したことがあります
・避難経路、避難場所の確保、パニックルームの設置、110番通報・非常ベルの準備
空き巣に遭遇すると居直り強盗に変貌するリスクあり
「パニックルーム」とは家族が緊急避難するための頑丈なドアで守られた小部屋
以上、【「群馬・北関東の寺院連続窃盗」その手口と効果的な防犯対策】についてお伝えしました。
空き巣に狙われないため、「目に見える防犯対策」と「手元に多額の現金を置かない」ことを基本に、どうぞご安全にお過ごしください。
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まとめ
【「群馬・北関東の寺院連続窃盗」その手口と効果的な防犯対策】
*「寺院連続窃盗」事件概要・手口:手元に多額の現金があり、防犯カメラなど防犯対策が手薄で、ご高齢な住職が多いお寺での窃盗に味を占めた若者集団が、遊ぶ金欲しさなどから安易に犯罪者集団化して連続窃盗に及んでいる。
*「寺院連続窃盗事件」の効果的な防犯対策:「機会犯罪」を阻止するために、セキュリティの世界基準「防犯環境設計」に沿って、「3つの防犯性を強化!」具体的には・・・
長くなりましたので本日はここまでとします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回も心を込めてまして、あなたとご家族に最適な防犯対策・セキュリティノウハウを発信してゆきますのでよろしくお願いします。
「防犯対策研究所」
アルファセキュリティ株式会社
代表取締役 新井富美男
アルファセキュリティ対応エリア:関東・群馬・前橋・高崎・伊勢崎・東京・埼玉・栃木を中心に、日本全国は総合防犯士会のネットワークで対応